ICON 少なくとも、本物の変態ではないだろう

「アブノーマル・ラバーズ」 / 家田荘子(角川書店)


 先日タモリ倶楽部で「官能文学タイトル大賞」と言うのをやったのだが圧倒的なH本の多さにぶったまげてしまったタイトルが傑作ぞろい私が好きだったのが「顔面騎乗」「柔壷」大いに笑わせてもらう
 概してタブーに挑戦したものが多く縛り、監禁、制服、近親相姦、レイプ、変態、ホモ、レズとバリエーションも豊富だそしてこの手の本が売れているのだと言う本を読みイメージするのは実際の行動の代償行為だろうがその歯止めが切れる時あの大量のH文庫本が実生活に攻め込んで来たらこりゃ人間は凄まじい動物になるぞいやいや現実にSMやらいろいろなタブーがお金を払って行われている訳だからプレイの枠がとっぱらわれる日はそう遠くないかも知れないあなたの隣の人はひた隠しにして超変態かも
 実際に45人集まって変態の話を振ると出てくるわ出てくるわ「オレの知っている奴で……」という始まりでウンコを食べたとかあいつは縛り上手でさとか精液を口に含んで鼻から出す女とか真剣になったり笑ったり変態話は喋り手の性癖が分かって面白いよ
 そんな話の参考になるのがこの。『アブノーマル・ラバーズ』。変態の本物さんが登場する家田さんのインタビューに答えてさまざまなアブノーマルな性を語っているのだ私がショックを受けたのは何といっても監禁願望だ男の監禁されて放置されたいという欲求女性を監禁する方であれば理解できるその他のSMやら女装パンツ好きぐらいなら理解どころか気持ちいいかも知れんなあという気がするところがだ自分の一生を棒に振っても死ぬかもしれないが監禁されて放置されたいんだとならば刑務所に行けと言いたいがそれじゃダメ本格的Sの愛する女性にして欲しいと言うこのSにしたって別の変態が「Mをマスターしないと本物のSにはなれない」とか語っちゃってくれているのだウ〜ム性は奥深いな
 しかしこれを読んで安心したのは変態はノーマルなSEXでは感じなかった人に多いと言う事ノーマルなSEXで充分な快感が得られる私は。少なくとも本物の変態ではないだろう。ノーマルから何歩も踏み出してイメージした所で単なるスケべなおじさんでしかない本物の変態に失礼と言うものだ。人肉食べた佐川さんも殺す前のイメージの方が楽しかったと言っているそこで止められないのが本物の変態だ
 家田さんは本物の変態に対して理解できない事もあるが時として愛しいと思うと書く変態は相手を探すのが非常に困難ということもあって孤独だ私も協力はできないが愛しさは持ちました

( 協力 / 桃園書房・小説CULB '94年8月号掲載)

BACK BOOKPAGE GO BOOKINDEX NEXT BOOKPAGE
|BACK| きのう読んだ本はこんな本インデックス| NEXT|

“きのう読んだ本はこんな本”では、みなさまのご意見やご感想をお待ちしています
メールのあて先はこちらまで。


GO HOME つぶやき貝 デジカメアイランド 孤独の壷 今日もはやく帰りたい
|ホームインデックス| つぶやき貝| デジカメアイランド| 孤独の壷| 今日もはやく帰りたい|